年越しは2014年まで神戸の実家で迎えておりました。

上京してからも必ず大晦日までに神戸に帰って、お正月は家族で近所の神社に初詣に行くのが恒例行事。
父の作るすましのお雑煮を食べることが大好きでした。


父を追って母が亡くなった年は、私の兄のような存在の従兄弟も後を追い、神戸には、ただ家が残されるだけとなりました。

その年の暮れ、3歳の娘と二人で神戸宅に赴き二人で過ごしたお正月が実家で年を越した最後。
庭になる檸檬を二人でたくさんたくさんとったと記憶しています。


本年、師走に実家をお譲りしました。

ずっと在って欲しかったのも本音。
一人では管理しきれなかったのも本音。
鬱蒼と茂った庭や、少しずついたんでいく家や、光熱費や固定資産税や。
母が花木が大好きで、庭にはざっと300種!の花木があったのですが……私はそれを継がなかった。


12月の中旬に遺品のほんの一部とお仏壇を東京へ持ってきて狭い家に並べました。いやはや、35年あっためてたものの剪定は心が忙しかった。見つけて喜んで、持って帰れずの決別に涙して。
3歳でひっこしてから、
34年、ずっと帰る場所として在った家に有難う、さよならをして東京へ戻ってきました。











東京宅は母のものであふれかえっています。母が営んでいたギャラリーえうれかのものもほんの少しばかり。
母のにおいがまだ色んなものに残っていて、まるで神戸宅に居るようです。


……バタバタと寒さの中引越し作業に、帰ってきて一家全員体調を崩して気がつけばもう三十日。


きっとご実家に帰省なさる方は、混んだ電車や高速や飛行場にいらっしゃる頃かな、
帰ろうと準備なさってる頃かな、
帰らない方もいらっしゃるかな、
どうやって年をお越しになるかな、と
懐かしい気持ちになりながら、
ぼんやりと空を眺めておりました。


本年も大変お世話になりました。
良いお正月をお迎え下さい。