●2017年 10月 20日から
新潟りゅーとぴあ スタジオB
●11月2日から 横浜
●●●坂口安吾「戦争と一人の女」●●●
●●●脚色 演出 上田晃之●●●
出演させていただくことになりました。
……経緯、お稽古での所感
父母他界あと複数の病を患ってしまい、その後ぐっと回復したものの、まずは私の実家を眠らせて、身辺の地盤をつくりなおすことから、…自分と家族主動のスケジュールにて、
客演させていただくことはもう厳しいんじゃないか、と考え続けてきました。
この秋も準備を延期した舞台があり、演じることへの恐れは大分膨れ上がっていました。根本的な演じることへの悩みもありました。
そこへ、
えうれか第二回公演にご出演下さいました上田晃之さんから坂口安吾の「戦争と一人の女」のお話しをいただいたのですが……。
まだお受けするにはこちらの身の上が色々不確かじゃないか、という私と家人の意見。
半面、この機会はラストチャンスなのではないか、という思い。
……そして、坂口安吾は、ほぼ私の半生を牛耳っている作家であること。
家族でシュミレーションを重ねに重ね、
結果、やらせていただこう、とお伝えしました。
そして出演させていただくこととなりました。
やはり稽古を重ねるだけでも迷惑かかってしまっております。
良いのか悪いのか、
病であったことで大分視点や視野がかわったんだな、と。
隅々で今も刻々と痛感していることは、一人では生きていけない、ということです。
戦火のさなか
女郎であった女と
その女と同棲する男。
この女の吐く言葉、この女自体、私からみたらとても強い。玩具があるという状況、自己から解離するという状況は身に覚えはあるものの、嫉妬せずにはいられません。
これまた、良い悪いではとらえられませんが、
憎しみ、という自身の感情がとてつもない音でやってきます。
……上田さんは、この作品で風通りをイメージしているようです。
確かに海や山の風は印象的です。
私の故郷も海沿いのまちで、母の故郷も海横で。
母のいた島の風は荒かった。
命という限りあるものに
びゅーびゅー吹き抜ける風、
ピタっと凪ぐとき。
原風景が想起されながら
戦争を生きた男女、この男女からみた日本、この男女が感じた生きるということ、は、
今の時勢に生きる感覚に何をもたらすのだろう、と思います。
うまく伝えられないのは歯痒いのですが、
どうぞお足をお運び下さいましたら幸いです。
……個人記
3月、えうれか第三回公演 清水邦夫作「楽屋」流れ去るものはやがて懐かしきにあたり、
太平洋戦争の体験記を読んでおりました。読んでいて
父の体験記を「きくべきだった」と。
父の体験記をききそびれたのは、私がまだ先に機会はある、と父に甘んじてしまったからです。
戦時中の話しをしたがらなかった期間が長い時間あったこともありました。
神戸の震災で、揺れて外に出て街をみた父は「戦争がまたやってきた」と言ったことがとても印象に残っています。
写真は稽古風景。