台本との出会いの話し

2009年、6月 。
当時私に芝居を仕込んで下さっていた文学座HKさんが、文学座アトリエ公演にて、松田正隆さん書き下ろし「結婚」に出演された。演出は高瀬久男氏。
印象派の光のような舞台上。寺田さんのモノローグではじまる音の美しい舞台。5度観に行った。

松田正隆さんに傾倒していたHさんから、「蝶のやうな私の郷愁」 をご紹介していただいたのが、このとき。美しい二人芝居だから読んでごらんよ、と。

一度読んで、二度三度何度も何度も読んだ。
人間の芯があるとするなら、それに、ひっそりと寄り添う本。読んだ瞬間、一番の宝物になった。

個人的な話し、私の母は長崎(五島)生まれ、私も港育ち。潮の気配には敏感である。

男女二人が暮らしているであろうアパートにて、二人がポツポツと会話をしている本のそこかしこに生活の音があり、そこのうしろには水の気配、潮の気配、潮が纏っている空気の気配があり、とても懐かしく、これ以上の寄り添い方もなく、自分のなかで、この本を越える本には申し訳ないけれど出逢わない、と一度読み終わって確信したのである。
この本があれば、欠片になってしまったおもいでにも優しくなるんじゃないだろうか。

5年経った。
自分の役者としての力量はとても危ういけれど、今年、どうしても上演をしたかった。どうしても。
お許しが出れば……一か八かでマレビトの会にご連絡差し上げると、快いお返事とともに、
丁寧に装丁された台本が送られてきた。

緊張して二日、持ち歩いた。
三日目に漸く扉を開いた。


「蝶のやうな私の郷愁」

松田正隆作(マレビトの会)

9月10日(水)から9月14日(日)

ギャラリー・ルデコ 4階

演出 原田直樹(夏色プリズム)
出演 佐々木史(劇団mahoroba+α)
小林英樹
西村俊彦
市川洋平
花村雅子
※トリプルキャストです。

照明 松本永
音響 瀬野豪志
アコーディオン 寺島淑子
当日運営 酒井菜月(たこ足配線企画)

チケット販売 7月13日より

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