2018年10月

どうも、酒屋のおっさん宮島役の渡辺と申します。

このブログリレー、演者としては最後の執筆になる様です。
トリに相応しくない文才の欠如を、喜んで晒してやろうではありませんか。

いやしかしまあ何ですな、前回までのブログを拝見しますと、文章と言うのは書き手の心の最前を表すものであり、引いて見ればその人が辿ってきた道すらぼんやりと見えてくる気がします。
丁寧さや可愛らしさ、考察や知識、それから遊び心。
各々が自分の中の大事なモノをしっかり抱えて書かれているんだなぁ、と感服しました。
それはきっと演技表現ともしっかり交差する事なんでしょう。
皆さん抱えたモノを武器に前進し時には扱いきれずに翻弄され、それでも反芻を繰り返し吟味し強い想いで舞台を力強く踏みしめているのだと思います。

まあ私なぞはあれですな、無学無教養の永年肉体労働者ですから、確固たる意志と知性を露に戯曲の深みとがっぷり四つに取り組む、なんておいそれとは上手くいかんのですが、それでも手助けを頂いて作品の調和に一役買える様、奮起せねばと考えております。

さて、この程度書けばもう許されるでしょうか?
このブログリレーのバトンが回るまでに私が頭を抱えた期間は三日です。
これから三日の間、小難しい事を書いてハードルを上げた辻井君を責めてやろうと思います。

お目汚し失礼しました。

父役の小磯一斉です。

お酒が好きです。特にビールが。
今日も飲んでいます。

幸いなことにこの作品の父は酒好きです。

1950年代から一般に普及した冷蔵庫。
おそらく喜多家にも一台据えられていたことでしょう。
そしてその中には常に2,3本のサッポロラガービールが並んでいて。

このお父様は17世紀のフランス史の教授です。
というとワインのイメージですが、この芝居の年代、日本のワインは赤玉ポートワインに代表されるようなとても甘いワインが中心でした。
戦争を通ってきた世代ですから甘いものは嫌いではないでしょうが、甘いワインはたしなむ程度で、いつもの晩酌はビールだったのではないでしょうか。
いやそうであって欲しい。

というわけで今日もビールを飲んでいる僕です。

喜多家の長女は酒屋に嫁ぎます。
お父様にとっては喜ばしいことです。もちろん娘を想ってのことです。
しかしそれに付随したであろう役得も鷹揚に受け取ったに違いありません。

ビールは安く買えたことでしょう。
まだ高嶺の花だった輸入物の本格ワインや洋酒を、婿殿が年に一度くらいは差し入れてくれたことでしょう。

お酒に困らない生活。
いい響きです。

そんなことを考えながら今日もビールを飲んでいます。
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小磯一斉でした。


というわけで、次のブログリレーは婿殿宮島役、渡辺将司さんです!

初めまして。
お稽古も残すところ、あと2日。
本日のブログ担当は横尾です。

えうれかのお芝居をご覧になっている皆様とは、
きっと、初めましてという挨拶が多いかと思います。
普段は現代口語の世界におりますので…。

だからこそ、密かに憧れておりました。
えうれかの選ぶ「かつての戯曲」に、ノスタルジー溢れる世界観に。

今回もですね、素敵な戯曲ですよ。
そして、美しい衣装に美術。
さらには、心に沁みる生演奏。

特に、生演奏は本当に素晴らしいですね。
山田さんの指先が生み出す響きは、空間に美しい揺らぎを起こします。
黒木さん作曲の劇中歌は、大きな宇宙を包んでいます。

もう、どっぷりと浸ってください。
楽しみにいらしてください。

劇場からの帰り道。
皆さんの足取りが、少しふうわりと、
ドラマチックなものになりますように。

一堂、心を込めて、丁寧に仕上げて行きます。

次回は、七人姉妹をまとめる要、お父様役の小磯一斉さんです。
小磯さんの醸す時の変化が、とても静かで美しいです。

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こんにちは。劇えうれかに初めて参加させていただきます、演劇ユニット・疎開サロンの黒木佳奈と申します。

わたしの役は、七女の巴絵です。
役と私自身のご紹介を兼ねて、まずは似ているところをいくつか挙げてみたいとおもいます。
彼女の台詞にありますように、幼い頃は自称「詩と音楽の天才少女だった」という巴絵ちゃん。
実は、わたしも、巴絵ちゃんほどではありませんが、幼い頃から大学に入るまでは、
ピアノしか眼中にない純な少女でありました。
それからは、見るも無惨な落ちこぼれに変貌しましたが…なんとか音楽大学を卒業、
今ではすっかり演劇にいそしむ毎日です。

ここの台詞も、まさに私!「よくないところをあげると、これはもう、きりがありません」。
「喧嘩っぱやい」…私もです。「食いしん坊」…これも私。「洗濯嫌いの掃除嫌いの不潔好き」…まさに私!それでいて、巴絵ちゃんの方は繊細さを併せ持つ女の子ですが、私の方はというと、年々大胆なおばちゃんになりつつありますでしょうか…気を付けねば!

それにしても、今年は私にとって、「矢代静一イヤー」とでもいうべき年だったと思います。
3月に『宮城野』をやりまして、初めての矢代作品だったのですが、年内にまた矢代作品に出演できるとは…これもまたご縁でしょうか。
わたしは普段は、古典作品を解体したり読み替えたりすることが多いのですが、
今回のカンパニーでは、矢代さんの描こうとしたものや登場人物の(矢代さんも)生きた時代に、
演出家も俳優もみなさん真正面からストレートに立ち向かっているように思います。
わたしも微力ながら、力添えできたらと毎日奮闘しております。
いよいよ今週木曜から開幕いたします。ぜひ目撃していただけましたら幸いです!

ブログバトンは、巴絵の運命を変えた修道院長さまへお渡しします!
それでは!

舞台内外で苦楽を共する
文代からバトンを貰いました
ありがとう

こんにちは
本作品で田所の役を演じます
福原龍彦です

普段はCASSETTEというユニットに所属しており、小劇場を中心に活動しながら紙細工の反骨精神を養っています

劇 えうれかさんにお声掛け頂き、
初めてこの戯曲に触れた時に感じた事

特徴的な世俗描写と宗教性、そして血脈による因果関係。稽古の中でそれらを少しずつ身に染み込ませながら、昭和という僕が生まれた古き良き時代を思い出すのです

東洋はどうしても子供達が親世代の業を背負う運命に翻弄されやすい社会です。多くの人々は、その解決の為に人生を送ると言っても過言ではありませんでしたが、今は無線通信で集団を補える時代となったお陰で、家族単位の存続はあまり、重要ではなくなってきました。

茶の間に人が集まる事の意味
イエとニワと書いて
家庭という文字が綴られる意味

この作品には、それらを簡潔に語り、存続する事の道徳が詰まっていると感じます。それらを象徴する多くの台詞は父という登場人物の口から放たれます。ごく自然に、時に激しく、やがて消え入るように。

今だからこそ、上演する意義のある物語

そんな重要な作品を個性溢れる演出以下、スタッフ、役者陣たちと、織り上げていく作業が心地良い。

演出に「あなたはスマートぶってる屑野郎」と言われた事がありました。妙にツボにはまり稽古後も思い出し、1人笑いが絶えませんでした。

田所の役を演じる福原です
渋谷の線路沿いでお待ちしております

巴絵、次は君の番だよ
自慢の演奏を聴かせてね

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